意外と知らないポルトガル語の「obrigado」の本当の意味

obrigado

しばらくポルトガル語を勉強していると、あるときふとひとつの疑問が浮かびました。ポルトガル語の「ありがとう」を意味する、「obrigado」にはなぜ男性と女性があるのだろうか、ということです。

スペイン語もイタリア語もフランス語も「ありがとう」は確か男性も女性もなく無変化のはずです(間違っていたらごめんなさい)。それなのになぜポルトガル語は男性、女性の二つにわかれているのか、と不思議に思ったのです。これについて調べていくと、ひとつの答えが見つかりました。



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ポルトガル語の感謝の表現&フレーズ色々

ポルトガル語の「obrigado」を説明する前に、日本語の「ありがとう」は「有り難し」という、「有るのが難しい」、つまりは「珍しい」、「めったにない」という意味が語源だそうです。

昔は良いことは、めったにないこと、神様、仏様の慈悲による「有りがたしことだ」といった宗教的な意味で使われていたのが、そのうち「有り難う」と変化し、感謝を表す言葉として一般的に使われるようになったそうです。

ではポルトガル語の「obrigado」はどうでしょうか。「obrigado」はもともと、動詞「obrigar(義務づける)」の過去分詞が語源だと言われています。

「obrigar」の過去分詞「obrigado」は義務づけられている、あるいは義務を感じている、という意味合いになり、その裏には、「相手にお返ししなければならない義務を感じている」という意味が隠されています。それがやがて「感謝している」と変化していったのが現在の「obrigado」の姿です。これに似たので「agradecido」、「grato」などの過去分詞がありますが、両方とも「感謝している」という意味で使われます。

過去分詞は多くの場合形容詞として使われます。ポルトガル語では主語が男性か女性かによって形容詞の語尾が変化するため、女性の人が「私は疲れました」というのを「Estou cansada」というように、女性が「ありがとう」というときは「obrigada」というのです。

これに対し、男でも女でも「obrigado」というべきだという意見もありますが、あまり一般的ではありません。また、ほとんど使われませんが、自分を含む複数の人に代わって感謝を述べるときは、「obrigados(男性複数)/obrigadas(女性複数)」と言うのが文法上は正しい言い方になります。

とても感謝している、というときに「muito obrigado」などと言いますが、女性の場合でも「muito obrigada」といって「muito」は変化しません。

これは「muito」が形容詞を修飾している副詞として使われているからで、ポルトガル語の副詞には男性、女性がないからです。 では一体どうして「muitas casas」というふうに「muito」を女性にして言うときがあるのか? という質問が出てきそうですが、「muitas casas」の「muito」は副詞ではなく、「不定代名詞」だから女性になるのです。副詞は基本的に動詞、形容詞、または他の副詞を修飾するものなので注意しておきましょう。

ここまで説明しておいてこんなことを言うのもなんですが、わざわざ「obrigado」ひとつにここまで掘り下げて覚える必要はまったくありません。うんちくが好きな人だけが知っておけばいいでしょう。

言語は深く掘り下げれば掘り下げるほど、よく分からなくなってくる、というパラドックスに陥ります。そして案外深く文法などを勉強していない人の方がしている人よりも語学に堪能だったりするのです。そういう人はつべこべ言わずに男は「obrigado」、女は「obrigada」って言えばいいんだよと思っているはずです。