ブラジルで最も有名な詩「エグザイルの詩」をポルトガル語で理解する

 

 

語学の勉強を進めていくと、文章を読むことが徐々に楽しくなっていきます。最初はゴシップ誌のような簡単なものから始まり、ファッション雑誌になり、そのうちは新聞も読めるようになるでしょう。

さらに突き詰めていくと小説、そして詩なども理解したくなってくる、なんてふうに向上心が尽きなくなるもです。そこで今回はブラジルで最も有名といっても過言ではない素敵な詩を紹介したいと思います。

題名は「エグザイルの詩(うた)」。といっても色黒の男たちが歌って踊る曲ではありません。作者はブラジルを代表する19世紀の詩人ゴンサウヴェス・ジーアスです。

この詩ができたのは1843年、ゴンサウヴェス・ジーアスがポルトガルに留学していたときのことです。海の向こうにある自分の故郷を思って綴ったこの詩は、ブラジルに対する哀愁を表現した代表的な詩として現在に至るまで語り継がれています。

近代の詩人でもこの詩に手を加えた、またはインスピレーションを受けた詩を書いた者も多く、詩の世界での影響力は今もなお絶大です。

題名の「Canção do Exílio」をここでは「エグザイルの詩(うた)」と訳してみました。「Exílio」が英語のエグザイルに当たるからです。

「Exílio」を辞書で調べると、まず目にするのが「国外追放」、「亡命者」、「流刑の身」などただならぬ言葉が並びますが、故郷から離れたところにいる「異邦人」のような意味もあります。特にゴンサウヴェス・ジーアスは無理やりポルトガルに連れて行かれたわけではないので、「異邦人」の意味のほうが正しいでしょう。

「エグザイルの詩」 Canção do Exílio (Gonçalves Dias)

Minha terra tem palmeiras,
Onde canta o Sabiá;
As aves, que aqui gorjeiam,
Não gorjeiam como lá.

Nosso céu tem mais estrelas,
Nossas várzeas têm mais flores,
Nossos bosques têm mais vida,
Nossa vida mais amores.

Em cismar, sozinho, à noite,
Mais prazer encontro eu lá;
Minha terra tem palmeiras,
Onde canta o Sabiá.

Minha terra tem primores,
Que tais não encontro eu cá;
Em cismar — sozinho, à noite —
Mais prazer encontro eu lá;
Minha terra tem palmeiras,
Onde canta o Sabiá.

Não permita Deus que eu morra,
Sem que eu volte para lá;
Sem que desfrute os primores
Que não encontro por cá;
Sem qu’inda aviste as palmeiras,
Onde canta o Sabiá.

*Sem qu’inda とは sem que ainda の短縮形です。

エグザイルの詩
(ゴンサウヴェス・ジーアス)

私の故郷ではヤシの木々が生い茂げ
ナンベイコマツグミの泣き声が響く
ここの鳥は向こうの鳥のような泣き方をしない

故郷の空にはより多くの星が輝き
湿地林はより多くの花を咲かせ
森林はより多くの生命で溢れ
人生はより多くの愛で満ちている

夜に一人で熟考する
私は向こうのほうが喜びを感じると
私の故郷ではヤシの木々が生い茂げ
ナンベイコマツグミの泣き声が響く

私の故郷には美がある
ここでは見つからない
夜に一人で熟考する
私は向こうのほうが喜びを感じると
私の故郷ではヤシの木々が生い茂げ
ナンベイコマツグミの泣き声が響く

神よ、どうか私を死なせないでおくれ
向こうに戻るまで
美を感受するまで
ヤシの木を一目見るまで
ナンベイコマツグミの泣き声が響く場所で

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