ポルトガル語を学ぶうえでブラジル映画を見ることはとてもいい勉強になります。そこで日本でも視聴できる感動の実話を基にしたブラジル映画「ストリート・オーケストラ(Tudo que Aprendemos Juntos)」を紹介します。
映画ストリート・オーケストラのあらすじ
売れないバイオリニストのラエルチは才能に溢れるものの、サンパウロ交響楽団のオーディションで力を発揮することができず、落選してしまう。
音楽だけでは食べていくのがやっとといったラエルチはやがてアパートの管理費すら払えないような状況に陥り、仕方なくサンパウロ郊外にあるファベーラの学校で音楽を教えることに。
ところが学校の生徒たちはやる気がなく、家庭環境も悪い子ばかりで、とてもまともな授業ができる状況ではなかった。ファベーラではギャングが地域を牛耳り、生徒の中には悪事に手を染める者もいた。
生徒たちは最初こそラエルチを信用しなかったが、ラエルチがギャングの脅しにもめげずに授業を続けたことから次第に彼をリスペクトするようになる。
ラエルチの教えもあって、生徒は見る見るうちに腕を伸ばしていき、ついにNGO団体の演奏会で演奏することになった。そんなときラエルチは、再びサンパウロ交響楽団のオーディションを受けられることになり、受かれば学校を辞めるざるを得なくなる。
学校か自分の夢かといった人生の岐路に立たされたラエルチだったが、そんな中ファベーラである事件が起きる、、、、、
映画ストリート・オーケストラはブラジルの現実を知るのにもってこい!
「ストリート・オーケストラ」は、登場人物の会話も演技も非情にリアリティーに溢れています。舞台は実在するサンパウロ市南部にあるファベーラ。そこで起こるあらゆるエピソードを通じて貧困、教育、社会問題などを浮かび上がらせています。
汚い言葉やスラングを交えて話す生徒たちの会話は、生のポルトガル語を覚えるのにも適しているでしょう。セリフは、ポルトガル語学校や教科書では教えてくれない、言い回しや表現で溢れていて、実際に若者の間で使われている話し方に触れることのできる貴重な作品と言えます。
また、登場人物たちがとてもはっきりと発音しているので、比較的聞きやすく理解しやすいので、ぜひポルトガル語の勉強に役立ててください。
映画ストリート・オーケストラの名言
本作にはたくさんのいい言葉やフレーズが登場します。そのいくつかをピックアップしてみました。
1、Tudo que aprendemos juntos – 私たちが一緒に学ぶ全てのもの
本作の原題であり、ストーリーを最も表している言葉です。
2、Vamos tocar uma música de boas vindas para Laerte. – ラエルチ先生のために歓迎の曲を弾きましょう。
先生が初めて授業を受け持ったときに教頭が生徒に向かって言った言葉です。
de boas vindasで「歓迎の」、「歓迎するための」といった意味になります。
3、Uma música bem tocada calma até os piores feras.- 上手に演奏された音楽は、猛獣すらも静かにさせるんだ。
ギャングに脅されて怖くなかったのか、という生徒の質問に対する先生の答えです。
feraは「猛獣」、「野獣」といった意味になります。
4、Vocês tem que estudar bastante em casa. Dormir, acordar, escovar o dente tudo com o instrumento na mão. – 君たちは家でたくさん自習をしないといけないよ。寝るときも、起きるときも、歯を磨くときも、いつだって楽器を手に持ったままやるんだ。
先生が生徒に言ったアドバイスです。
tem que~+動詞で「~しなくてはならない」という表現になります。
映画ストリート・オーケストラは感動的
ファベーラという過酷な環境にいながらも音楽を通じて、希望を見出そうとする生徒たちの前向きな姿が素敵です。また、そんな生徒たちに厳しくも親身に接する先生の姿勢が立派でした。
夢を追うことの大切さや努力を続けていれば必ず報われるといったメッセージ性も込められています。ブラジルのファベーラといった日本とは別世界の現実の物語ですが、彼らのひたむきさに文化の壁を超えた感動を覚えるはずです。
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