日本社会においては敬語を使いこなすことは必要不可欠なことです。それに対し、ブラジルでは会社の上司をファーストネームで呼ぶことも当たり前で、日本語ほど言葉使いに厳しくありません。
とはいえ見知らぬ老人に対して、「você」と言うのは失礼ですし、小さな子供に「senhor」を付けるのもおかしいように、多少なりとも話し相手によって言葉使いに変化が現れます。
そこでポルトガル語の敬語の使い方を紹介します。
ポルトガル語の敬語のルール
ポルトガル語で相手に丁寧に接する、または敬意を示す方法で一番シンプルなのは呼び方(人称代名詞)を変えてあげることです。
話し相手を「あなた」と呼ぶときには普通ですと、「você」を使いますが、男性なら「senhor」、「senhora」または「senhorita」と言うだけで随分と丁寧に聞こえます。
例1
Você quer sentar aqui? ここに座る?
A senhora quer sentar aqui? ここに座りますか?
*バスや地下鉄などで、「どうか座ってください」という意味合いを込めて、以上のように聞くことがよくあります。
例2
Você está cansado? 君は疲れてる?
O senhor está cansado? あなたは疲れていますか?
vocêをsenhor(a)にするだけでも、大分聞こえが変わります。
例3
Doutor, o meu filho tem gripe? 先生、息子は風邪ですか?
*doutorは医者、弁護士などに使われる敬称です。 本来、博士号を取得した人に与えられる称号ですが、最近では目上の人に敬意を示すためにも使われることが多いです。
例4
Espero que o ministro compareça a este encontro. この会合に大臣が出てくれることを期待しています。
Espero que Vossa Excelência, Senhor Ministro, compareça a este encontro . この会合に大臣が出席してくださることを期待しております。
*位の高い人にはしばしばVossa Excelência、Vossa Majestadeなどの敬称が使われます。英語でいうところの「Your Majesty」にあたる言葉です。
ポルトガル語の敬称の種類と使う相手
敬称 | 相手 |
Vossa Alteza | 王子、姫、公爵 |
Vossa Eminência | 枢機卿 |
Vossa Excelência | 大統領、大臣、理事、裁判長など |
Vossa Magnificência | 大学の学長など |
Vossa Majestade | 王、天皇など |
Vossa Reverendíssima | 司祭 |
Vossa Senhoria | 権威者 |
Vossa Santidade | ローマ法王、ダライラマなど |
しかしながら実際の日常会話の中でこれらの敬称を使うことはほとんどありません。では次は日常会話の中で呼称を変える以外の敬語の話し方を見ていきましょう。
Gostaria de+ 動詞 ~がしたいです。
Quero convidar vocês para minha festa. あなたたちをパーティーに招待したい。
Gostaria de convidar vocês para minha festa. あなたたちをぜひパーティーに招待したいです。
*日本語に訳すとほとんど違いがありませんが、ポルトガル語では後者のほうがずっと丁寧な言い方に聞こえます。
Poderia +動詞? ~してもらえませんか。
Pode me passar o sal? 塩を取ってもらえる?
Poderia me passar o sal? 塩を取ってもらえませんか?
Preferiria +動詞 ~するほうがいいです。むしろ~したいです。
Prefiro ficar aqui. ここにいるほうがいい。
Preferiria ficar aqui. どちらかというとここにいたいんですが。
まとめ
いかがでしたか。ポルトガル語には日本語とはまた違う敬語の使い方があることが分かったかと思います。
以上のことを気を付けながら敬語を使うとき、またそうでないときを判断してポルトガル語の会話に役立ててみてください。
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