ポルトガル語の冠詞の使い方を徹底解説

日本語にない冠詞(artigo)は、文章にしたとき、話しているときに日本人が一番忘れがちな品詞です。しかしブラジル人にとってはこれがないと、どこかしっくりこない、意味がはっきり伝わらないほど大変重要な要素です。

冠詞には定冠詞と不定冠詞の2種類があり、さらにポルトガル語には単数形、複数形、そして男性、女性があります。かなり複雑なような印象を受けますが、「男性名詞&女性名詞」の基礎を把握しておけば大分覚えやすくなります。

ポルトガル語の定冠詞

オンライン辞書大辞泉によると、定冠詞とは次のような意味を持ちます。

 詞に付けて、それが特定のもの、あるいは一般的なものであることを示す。

ほとんどの場合、定冠詞は相手に当然伝わる唯一無二の特定の名詞、あるいはすでに話題に出ている特定の名詞に用いられ、それ以外は不定冠詞といえます。

では例題を見ていきましょう。

o(男性単数)、a(女性単数)、os(男性複数)、as(女性複数)

O sol cai. 陽が落ちます。

A Lua está brilhando. 月が輝いています。

Falei com os meninos. 子供たちと話しました。
*特定の子供たちを指しています。

Os brasileiros são alegres. ブラジル人は陽気です。
この場合は特定ではなく、一般的なブラジル人は「陽気です」という意味です。

As mulheres japonesas normalmente cozinham bem. 日本人女性たちは通常料理が上手いです。
一般的な意味になります。

定冠詞の注意点(中級者から上級者向け)

定冠詞を使うときと使わないときの注意点を見ていきましょう。

場所の名前には定冠詞を付けるものと付けないものがある

例・定冠詞を付ける場所

A Bahia  バイーア州

O Japão   日本

O Brasil  ブラジル

例・定冠詞を付けない場所

Portugal ポルトガル

São Paulo サンパウロ

Paris  パリ

Ambosの後に来る名詞には定冠詞を付ける。

Ambos os atletas foram vencedores. 両選手が勝者となった。

Todosの後に来る名詞には定冠詞を付ける。

Todos os atletas foram vencedores. 全選手が勝者となった。

人の名前には定冠詞を付けても付けなくてもいい。

A Márcia estuda à noite. マルシアは夜に勉強します。

Márcia estuda à noite. マルシアは夜に勉強します。

*ブラジルにおいて地方によって人の名前に定冠詞を付けるところと付けないところがあります。また、地方によって定冠詞を付けることで親しみを増した文になります。

casa do Paulo  パウロの家 (親しみがある)

casa de Paulo パウロの家 (親しみがない)

有名人の名前には定冠詞を付けない。

Neymar é o melhor jogador do Brasil. ネイマールはブラジル最高の選手だ。

*なお新聞などでは有名、無名に関わらず人の名前に定冠詞を付けません。

人称代名詞所有格には定冠詞を使っても使わなくてもいい。

Foi rápida a sua entrevista. あなたの面接は早く終わりましたね。

Foi rápida sua entrevista. あなたの面接は早く終わりましたね。

文法的には間違っていても会話では定冠詞を付けたり付けなかったりする

会話では特定なものでなくても、または会話ですでに言及されていない事柄にも定冠詞が使われることが多々あります。

Vamos ao shopping hoje à tarde?   今日、ショッピングに行きませんか?

Meu pai está no hospital.   私の父は病院にいます。

どちらも定冠詞が使われていますが、どこのショッピングか、どこの病院かは定かではありません。

ポルトガル語の不定冠詞

オンライン辞書大辞泉によると、不定冠詞 とは次のような意味を持ちます。

数えられる名詞につけて、その名詞が不特定のものであることなどを表す。

つまり漠然とした不特定な名詞に用いられるのが不定冠詞です。では例を見ていきましょう。

um(男性単数)、uma(女性単数)、uns(男性複数)、umas(女性複数)

Tenho um cachorro. 私は犬を一匹飼っています。

Ela tem um filho. 彼女には息子が一人います。

Vou comprar uns sapatos. 私は(複数の)靴を買います。

Ele deve ter uns 40 anos.  彼は40歳ぐらいのはずだ。

*数字の前に不定詞を使うことで、およそ、だいたい、おそらくなどの意味になります。

Elas preparam umas tortas. 彼女たちは(複数の)パイを作ります。

不定冠詞の注意点

不定冠詞は、会話においても文章においても省略されることが多々あります。

1、特に文章、記事のタイトルには特別な意味合いがない限り省略されます。そのため新聞の記事のタイトルにum、 uma、 uns、 umasはほとんど出てきません。

Atleta americano recebe (um) troféu na Itália.  アメリカ人アスリート、イタリアでトロフィーを受ける。

特別な意味合いがある文章とはこのような場合です。

Mais uma loja multada pela fiscalização da Receita Federal.  連邦税務署の手入れによってまたひとつ店舗が罰金を課された。

Polícia atira em manifestantes: um morre. 警察がデモ参加者に向かって発砲、1人が死亡

2、文法的に正しくても、話すためになくても意味の通じる不必要な不定冠詞は省略されることが多々あります。

A menina ganhou (uns)  brinquedos. 女の子は(複数の)玩具をもらいました。

3、動詞serの後に来る不定冠詞は多くの場合省略されます。

Eu sou (um) professor. 私は教師です。

Ela é (uma) jogadora de vôlei. 彼女はバレーボールの選手です。

serの後に来ても名詞を強調する場合や感嘆文などではあえて不定冠詞が使われます

Foi uma alegria te ver.  あなたに会えてとても嬉しかったです。

A festa foi um horror!  パーティーはひどかった。

Foi uma honra trabalhar com vocês. あなたたちと働けて光栄でした。

Estou com uma fome!  私はお腹ペコペコです。

4、igual、 semelhante、tal、 certo、 outro、 qualquerの前に来る不定冠詞は省略されます。

Ele não aceita (um) qualquer emprego.  (仕事探しをしている)彼はどんな職でも受け入れるわけではありません。

A carta chegou com (um) certo atraso.  手紙は大分遅れて届きました。

5、比較が使われるとき、不定冠詞は多くの場合省略されます。

Quero ganhar (um) melhor salário. 私はもっといい給料が欲しいです。

Ele precisa de (um) carro maior. 彼にはもっと大きな車が必要です。

6、数量を示す表現のときには 不定冠詞は多くの場合省略されます。

Havia (uma) enorme quantidade de erros no texto.  その文章には多くのミスがあった。

O presidente da empresa conseguiu (um) pequeno capital para iniciar o negócio. 社長はビジネスを始めるために少しの資本を得た。

冠詞が使われないケース

一般化された名詞の場合

1、 As mulheres se cuidam mais que os homens.  女性は男性よりも自分のことをケアします。

2、 Mulher se cuida mais que homem.   女性は男性よりも自分のことをケアします。

1、2も意味が同じですが、このように「女性」と「男性」を一般化する場合は冠詞を付けないことも多々あります。

 

1、As crianças têm mais disposição que os adultos. 子供は大人より元気だ

2、Criança tem mais disposição que adulto. 子供は大人より元気だ

この場合も一般化しているので冠詞を省くことができます。

 

1、Eu gosto de arroz com feijão.  私は米とフェジョンが好きです。 

2、Eu gosto do arroz com feijão da avó.  私はお祖母ちゃんの(作る)米とフェジョンが好きです。

1は特定の米ではなく、全般的に米とフェジョンが好きだ、という意味になります。この場合、冠詞は省かれます。

話し手の「自分の家」を意味する「casa」

1、Ontem fiquei em casa.  昨日、私は家にいました。

2、Ontem fiquei na casa da meu primo.  昨日、私は従弟の家に泊まりました。

1は「私」の自分の家」を指しているので、na casaとはならず、em casaになります。

相手を呼ぶとき

1、 A Marta está bem. マルタは元気です。

2、 Marta, está bem?   ねえマルタ、元気なの?

人の名前は冠詞を付けても付けなくてもいいですが、2のように相手の名前を呼ぶときには冠詞は使いません。

1、Encontrei com o senhor Ricardo.    私はヒカルドさんと会いました。

2、Senhor Ricardo, me espere!  ヒカルドさん、待ってください!

senhor, senhora, senhoritaの場合は通常冠詞が使われますが、相手を呼ぶときには省略されます。

ことわざ

Tempo é dinheiro  時は金なり

Filho de peixe peixinho é.   魚の子供は魚(蛙の子は蛙)

 

 

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Q&A

  1. 高橋俊之 より:

    SãoPaulo. には定冠詞が付かなくて同じ地名のてRioにはoが付くのはなぜですか?

    • porgohakase より:

      ご質問ありがとうございます。都市の名前に関しては定冠詞をつけないのが普通で、付ける都市が例外扱いです。

      一説によると一般的な名詞が含まれる都市名には定冠詞を付ける、とも言われています。O Rio de Janeiro, O Portoなどがそれに当たります。rioは川、portoは港といった別の意味を持つため定冠詞を付けないと区別がつかなくなるという理論です。ただ、それも全てがあてはまるわけではなく、Recifeは岩礁という意味もありますが、定冠詞はつけてもつけなくてもどちらでもいいことになっています。

      これらはすでに決まっていることなので「なぜそうなるのか?」というふうに考えるより、そういうものだと思って暗記するのをおすすめします。

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